双極性障害で障害年金を受給するには?受給条件と申請のポイントを詳しく解説
双極性障害とは
双極性障害は、躁状態とうつ状態が周期的に現れる精神疾患です。
- ・躁状態:エネルギーが高まり、過剰な自信や多弁、衝動的な行動、浪費、ギャンブルなどの行動が目立ちます。
- ・うつ状態:気分が落ち込み、無気力や意欲低下、外出困難、睡眠障害、時に自傷行為や希死念慮が見られます。
これらの症状が繰り返されることで、日常生活や就労に大きな影響を及ぼします。
障害年金とは
障害年金は、原則20-64歳が対象で病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が支給される制度です。 65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある人に対して支払われます。
双極性障害の場合、一定の条件を満たせば、障害年金を受給することが可能です。
受給には、初診日、保険料納付状況、そして障害の状態を示す障害認定基準が重要なポイントとなります。
双極性障害で障害年金を受給するための条件
双極性障害で障害年金を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。
①初診日要件
- 病気の原因となった傷病で初めて医師の診察を受けた日が、国民年金または厚生年金保険の被保険者期間内であること。
②保険料納付要件
- 初診日の前日までの被保険者期間において、保険料が一定割合(3分の2以上)納付されていること。
③障害認定日と認定基準
- ・障害認定日:初診日から1年6か月後に設定され、その時点での障害の状態が審査されます。
- ・認定基準:医師の診断書や「病歴・就労状況等申立書」に基づき、日常生活や労働への影響度合いで等級が決定されます。
双極性障害での障害年金認定基準
認定基準は、双極性障害の症状がどの程度日常生活や労働に支障をきたすかを評価するものです。
以下は、代表的な等級の目安です。
-
1級
高度の気分、意欲・行動および思考障害の病相期があり、常に他者の援助が必要な状態。
-
2級
気分、意欲・行動および思考障害の病相期があり、日常生活に著しい制限がある状態。
-
3級
症状は著しくないが、労働が制限を受ける状態。
障害年金の申請手続きと必要書類
双極性障害で障害年金を申請する際は、以下の書類を揃え、正確に記載することが重要です。
必要書類
- ・年金請求書
- ・診断書(精神の障害用)
医師に、双極性障害の症状(うつ状態と躁状態)の両面を具体的に記載してもらいます。 - ・病歴・就労状況等申立書
発症からの経過、通院歴、就労状況、日常生活での困難を具体的に記載。 - ・初診日の証明書類(診療録、カルテ、処方箋等)
- ・本人確認書類(マイナンバーカード等)
- ・収入・年金加入状況の証明書類
申請の流れ
- ①医師に診断書の作成依頼
双極性障害のうつ状態および躁状態の症状を詳細に伝え、診断書に反映してもらいます。 - ②必要書類の準備と整合性の確認
- ③年金事務所または市区町村役場へ提出
- ④審査結果を待つ(通常3~6か月)
- ⑤支給決定後、受給開始
双極性障害で働きながらの受給とその他の注意点
就労と障害年金
働きながら障害年金を受給することは可能です。しかし、就労状況や給与が審査に影響するため、医師には正確な就労状況(仕事内容、労働時間、職場での支援体制など)を記載してもらうことが重要です。
審査では、単に働いている事実だけでなく、仕事内容や勤務環境、職場での配慮の有無などが評価されるため、正確な就労状況の報告が必要です。
診断書と病歴就労状況等申立書の整合性
提出書類の内容が一致していることが重要です。医師の診断書だけでは伝わらない部分を、病歴・就労状況等申立書で補強し、具体的なエピソードや数字を用いて記載することが、申請を確実に進めるポイントです。
双極性障害で障害厚生年金2級を受給できたケース
相談者 | 無職・男性(50代) |
---|---|
傷病名 | 双極性障害 |
決定した年金種類と等級 | 障害厚生年金2級 |
支給月から更新月までの総支給額 | 約192万円 |
決定した年金額 | 約135万円 |
相談時の状況
会社員の頃に発症し、躁状態が続くと職場でのトラブルや無断欠勤を繰り返すようになり、休職と復職を繰り返していました。離婚により子供に会うこともできない寂しさや周囲に理解されない落ち込みから症状が悪化するようになったそうです。
2年前に家族のサポートを受けながら自身で請求するも不支給、審査請求でも認められず、インターネットで当事務所の存在を知りご相談いただきました。
依頼から請求までのサポート
過去にご自身で請求していたこともあり、病歴の状況については順調にまとめることができました。診断書にしっかり反映されるよう、ご本人の生活状況やご家族の介助状況をうかがい、サポートさせていただきました。
結果
障害厚生年金2級の受給が決定しました。
症状が悪化してからはお兄様が面倒を見るようになり、経済・生活の両面で支えてこられたようで、無事決定が決まり喜んでいただけました。ご兄弟の仲の良さ・絆が伝わってきて笑顔がとても印象に残りました。
7. まとめ
双極性障害(躁うつ病)で障害年金を受給するには、初診日要件、保険料納付要件、障害認定日および障害認定基準を満たすことが必要です。
また、医師の診断書や病歴・就労状況等申立書により、双極性障害の症状(うつ状態・躁状態)の両面が正確に記載されることが、障害年金の認定に大きな影響を与えます。
働きながら受給する場合は、就労状況や同居家族の有無も審査のポイントとなるため、これらの情報をしっかりと記載することが重要です。
双極性障害で障害年金の申請に不安がある場合は、専門の社労士に相談し、正確な情報に基づいた申請手続きを進めることをおすすめします。
当事務所は双極性障害の方の申請事例が豊富です。障害年金申請について、どんなことでもお気軽にご相談ください。
初回のご相談は無料で承ります。
最終更新日 2025年2月4日 by 社会保険労務士 久保将之
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